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本稿は「My Career in Cybersecurity: Finding My Way As a Woman」からの転載です。執筆者は Manija Poulatova で、彼女は New York 在住のリードチャネルセールスエンジニアとして、Palo Alto Networks に勤務しています。
タジキスタンで生まれ育った女性にとって、テクノロジー業界に乗り込むことは簡単なことではありませんでした。タジキスタンには女性に非常に厳格な役割分担があったんです。私たちはこの国で、善き妻、善き母、善き娘となることを期待されて育ちました。要するに、家のことを引き受け、きちんと掃除をし、家族のために料理をすることが女性に期待されていたんです。女性にはキャリアを築いて経済的に自立することが期待されていませんし、そのための支援もありませんでした。
ですので、コンピュータエンジニアリングの学位を得ようと決めたときの私にはそれがどんなに大変な道になるかが分かっていませんでした。私のクラスには 300 人の学生がいたのですが、女性はそのうち 7人から10 人。教授には専門をコンピュータエンジニアリングから別のものに変えてはどうかと勧められたことを覚えています。コンピュータエンジニアリングは女性の職業ではないと言われました。典型的な男性社会の考えかたが反映されていたわけです。卒業が近づくにつれ、女子学生の多くがプログラムから脱落していきました。周囲のひとたちには「なんだってこのプログラムに参加してるの?」と聞かれたものです。要は「男でもないのに」と言うわけです。プログラムを最後までやりぬくべく私を突き動かしたものが何であったかをひとつあげるなら、それは周囲のこうした態度だったのだと思います。
私は立ちはだかる壁を打ち破ろうと決意し、テクノロジーを学んだことで、理性的で論理的な人間になっていきました。それでも、いざ労働力の一部になってみると思わぬ障壁が待ちうけていました。「自分はこの場にふさわしくないのでは」という気後れを抱いたことがそのひとつ。面接に臨んだ当時の私は、面接官に自分は求められていないように感じていました。会社の求める人材に合わないんじゃないかと思ったんです。求人に応募すること自体が怖かったこともあります。求められる条件すべて満たしていなければ応募する資格がないんじゃないか、と思っていました。あとになって、こんなふうに感じているのが自分だけではなかったことをある記事で読みました。私たち女性がこんなふうに気後れをしてしまうのは実はよくあることなんです。
ですが、どれほど気後れを感じても、ずっと数学とコンピュータを愛してきた私にとって、テクノロジーは、よりよい人生へと導いてくれる道だったのです。テクノロジーを学んだことで、私は自分に自信を持つことができましたし、自分が何者であるかも分かりましたし、自立することもできました。私はこのことをいつも胸の裡にいだき、定期的に思い出すようにしています。テクノロジー業界に乗り込んでこうした不安にさいなまれたときには、かなりの忍耐力が試されます。そこで「自分なんかだめなんじゃないか」とか「テクノロジー業界でこのままやっていけるだろうか」と不安を抱いている女性のみなさんに、私からアドバイスをさせてください。
ここ数年の間にテクノロジー業界も大きく様変わりしました。女性のメンターシップにフォーカスした地域ごとの会合も立ち上がってきています。シリコンバレーはじめ全国のテクノロジー企業が、自社のポリシーを見直して、女性従業員への偏見をなくすための従業員トレーニングをはじめています。弊社をふくむさまざまな企業が音頭を取り、ガールスカウトサイバーセキュリティバッジのような取り組みや、社内での昇進方法、Women of the Channel、Women in Securityといった業界セッションの支援に乗り出しています。かつてご自身が私と同じような不安を抱えていたIsis Anchaleeさんなどの個人も、 #ilooklikeanengineer 運動の立ち上げを支援してくれています。あれから状況は大きく変わりましたが、やるべきことはまだまだあります。
先はまだ遠いですが、諸先輩方の苦労の賜物としての道が、私たちの前にはひらかれています。ある意味で、私たちが自分自身を信じ、自身が望む変化を起こす努力をしつづけること、これがいま試されているのです。いまの私は自分を信じることができますし、周囲には私を信じてくれる人たちがいます。私には、私を高みに引っ張り上げ、意欲を刺激してくれる同僚がいます。私は娘をもつ母でもありますが、娘には私のときと同じ不安の道を歩かせたくないのです。彼女には勇敢であってほしいし、なりたい自分になってほしい。私は、娘にもテクノロジー産業に身を置くすべての女性にも、同じことを望んでいます。それは彼らがチャンスを与えられることなのです。
テクノロジー業界のダイバーシティへの視点についてはPalo Alto Networksが提供する「Diversity Unscripted」ブログも合わせてお読みください。