ボーイスカウト日本連盟と共同開発のセキュリティプログラム提供から1年 ― ネット利用の若年化に伴うデジタル・シティズンシップ教育の重要性

Jul 18, 2022
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新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、企業がテレワーク移行を余儀なくされただけでなく、教育機関においてはタブレットやビデオ会議を活用して教育を途切れないようにする試みが、国内はもちろん世界的にも行われました。外出が制限される中で、ネットショッピングの利用も進み、外食産業においてはインターネットを通じたデリバリーサービスが広く普及しました。誰もが予期せぬ事態の中で、ITやインターネットは我々の社会生活に大きく貢献しました。

一方で、利便性と安全性は、常に相反する形でついて回るものです。警察庁の発表によると、サイバー犯罪の検挙件数は令和3年には年間12,209件にものぼり、ネット社会と現実社会が融合する中でサイバー犯罪は増加の一途を辿っています。最近では、ネット上での誹謗中傷が年齢を問わず社会問題になっており、ネット倫理が改めて問われています。これを背景に、今年6月には「侮辱罪」を厳罰化することなどを盛り込んだ改正刑法が可決されました。犯罪、倫理の両面で、ネット利用を改めて考えるべきタイミングであると言えます。

若年化するネット利用とネット犯罪

ネット社会と現実社会が融合する中で、一層加速しているのがネット利用の若年化です。スマートフォンは保護者と子供の間での連絡や安全確認の手段としても役立ち、またソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やオンラインゲームは友達間でのコミュニケーションや娯楽の手段としても確立されています。ITやインターネットなしの生活は、もはや考えられない時代に突入していることは間違いありません。

ネット利用の若年化は、若年層での犯罪被害の増加を意味しています。警察庁の発表によると、SNSに起因する事犯の被害に遭った18歳未満の子供は、令和3年には1,812名と、平成29年から5年連続で年間1,800名を超え高い水準で推移しています。中でも、被害にあった子供の約半分の51.7%が高校生、39.6%が中学生となっており、スマートフォンやSNSを中心にネット利用が本格的に始まるのが中学生前後であることがわかります。

また総務省の発表によると、令和3年に検挙した不正アクセス禁止法違反事件の年齢別被疑者数は、14〜19歳が全体の25.5%を占めている中で、最年少者は12歳となっており、ネット犯罪自体も若年化しています。中学生や高校生がマルウェアを使って他人のID・パスワードを盗み取り逮捕されるなど、ネット上での犯罪被害、犯罪となる行動、非倫理的な行動は、現実社会にも大きく影響を及ぼします。

ネット利用が本格的に始まるこのタイミングから、利便性と同時に犯罪や倫理の面でもネット利用を理解する取り組みが、これまで以上に必要となっています。しかし、これまでネット利用の教育に関しては、いわゆる情報モラル教育として警告や制限を中心とした指導が展開されてきました。しかし、ITやインターネットなしの生活はもはや考えられないため、デジタルを活用して積極的に社会に関与していくことを前提として、利便性や危険性、能力やスキルを学ぶという「デジタル・シティズンシップ教育」が日本においても注目を集めています。

ネット社会と現実社会が融合する中で、利便性と共にネット上で犯罪に巻き込まれないための知識、逆に犯罪に手を染めないための知識、そしてネット上で正しく行動するための知識を、自発的に習得できる場や手段が、できるだけ早い段階で得られることが大切です。

パロアルトネットワークスの若年層向けの取り組み

パロアルトネットワークスでは、全国の小学生が安全なインターネット利用を学ぶためのデジタル・シティズンシップ教育のプログラム「サイバーセキュリティヒーロー」をボーイスカウト日本連盟と共同開発し、2021年4月よりボーイスカウト日本連盟から各団に展開しています。このプログラムは、パロアルトネットワークスの「Cyber A .C .E.S. Program(日本語名:初めてのサイバーセキュリティ)」をベースにしており、同様の取り組みは米国、オーストラリア、シンガポールなど他国でも行われています。

日本国内では提供開始から1年以上が経過しており、2022年5月時点で全国の208の団、2,310名のスカウトからの申し込みがあり、同期間内で申し込みが最も多いプログラムとなったことからも、ネット利用が若年化する中で関心の高いテーマであることがわかります。嫌な書き込みをされたことを想定して気持ちを発表したり、インターネットの便利な点と危ない点を踏まえたより良い使い方を話し合って発表するなど、ワークショップ形式で行われることから、スカウトが自発的に考えながら理解が深まり、子供たちの未来が楽しみになったというフィードバックをいただいています。

群馬・前橋地区のボーイスカウト団、サイバーセキュリティヒーロー体験の様子
群馬・前橋地区のボーイスカウト団、サイバーセキュリティヒーロー体験の様子

パロアルトネットワークスでは、新たに今年8月に全国47都道府県にて分散型で開催される日本最大のボーイスカウト行事「第18回日本スカウトジャンボリー」のゴールドスポンサーとして協賛し、サイバーセキュリティのプログラムを実施予定です。そのほか、ボーイスカウト日本連盟と連携して、サイバーセキュリティの注意喚起を目的とした漫画動画を夏以降に、各団に向けて展開予定です。パロアルトネットワークスは、今後も、ボーイスカウト日本連盟と協力し、全てのスカウトに対して、インターネットに潜む危険性や安全に利用するための知識を楽しく学べる場を提供していきます。


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